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映画レビュー:No.688 恋するシェフの最強レシピ(原題「This Is Not What I Expected」)

恋するシェフの最強レシピ
106分 / 香港、中国
日本公開:2018年3月10日
監督:デレク・フイ
出演:金城武
チョウ・ドンユィ
スン・イージョウ
リン・チーリン







この記事はネタバレを含みます。ご了承下さい。



最近注目しているラッパーはMasa & トラヴィス・スットコです。これ別に二人組とかじゃなくて一人の男のMCネーム。

▼ベタなロマンティックコメディというジャンルの型
友人が期待作として上げていたので観ることにしたけど、観終わってもこの映画のどの要素に期待していたのかわからなかった。

実利主義でこだわりが強く人間性に問題のある金持ちと人情味溢れるけれど異性への魅力に乏しい庶民シェフという、本来恋愛対象ではない男女が接近していく様子を描くベッタベタなロマンティックコメディ。
そりゃあこの二人が惹かれ合うのは自明の理だぜ!と言わんばかりに必然性を丁寧に積み重ねていく作りで、そういう意味では結論に向けてひたすらまっすぐなプロットとも言える。
これから観る人はそういうジャンル映画的なお約束を楽しむつもりで観よう。

▼「相互理解」と「違いへの想像力」という恋愛の必要条件を示す展開
単に好みの問題として男と女が自明にくっつく話ってそんなのどうかなあと思って観てたのだけど、これがまあ意外と良い部分も多くてよく出来てた。
序盤はお互いがお互いとわからずに図らずも料理を通じてコミュニケーションを取る展開になるのだけど、ここはスキルとしての料理で同じ価値観を持っているということを確かめるように描かれてる。
相互理解の入り口に立つ瞬間というか、「この人は私のことをわかってくれるかもしれない」という予感の描写になっていて、冒頭に最悪の形で出会った二人が奇しくもお互いの良いところを見つける形で再び出会うという場面設計もさりげなく周到。
シェフの女の子がなんでこんなオリジナルな料理スキルを持っているのかという件は最後までロジックがつかないのだけれど、二人の関係においてその部分を必要としないようきっちりかわしているのであんまり気にならない。普通に説明がつかない級の天才なんだけどね。

そうして二人がきちんとお互いを認識したら今度は生活の中の食事を通じて「違いを受け入れる」ということを示す展開になる。
それぞれの生活において食事はどういう時間で食卓はどういう場所なのかを二人のギャップとして見せつつ、多少強引だけれどそこを折衷させていく。

そうやって「共通の部分」と「違う部分」を共有していくという恋愛の必要条件を押さえる物語になっていて、結論ありきの中にも必要なロジックがきちんとしている。
物理的な接近を二人の心的距離として示す演出の積み重ねも意外と丁寧で、観客がきっちり恋の予感を膨らませていくように映画が機能してる。こういうのは良いよねやっぱり。

▼人は長所も短所もあるけどそれらをひっくるめて相手を好きになるということ
終盤金城武演じるお金持ちが「長所だけを好きになって短所だけを嫌いになることなんて出来ない」と言う。これはついつい忘れがちだけどとても普遍的で大事な恋愛観だと思う。
なにか一箇所嫌いなところがあるからといってその人のこと全部を嫌いになるわけじゃない。それも含めてその人のことを好きっていうのはどういうことなんだろうなって考えてしまう。

▼狭いところに着地する結末
ただ最後なし崩し的に公私混同してハッピーエンドというのはもう少し大人な着地にしてほしかった気はする。
結局二人のためにないがしろにされた"他者"がたくさんいるわけで、そういう人たちを理解することで成長する余地が金城武のキャラクターにはまだまだあるように思う。
それはシェフの女の子のバックボーンの描かれ無さとも通じるかも知れない。彼女が市井の人間であるということを市井の人たちの中にいることで示す場面があっても良かった。現状はやっぱり"女"であることがキャラクターとしてどうしても先行しているし、恋愛という狭いところへの着地以外に余韻があるとなお良かった。

★★★★★★ / 6.0点

あとこれでもかとばかりに料理シーンてんこ盛りなのでお腹いっぱいにしていかないと腹の虫が絨毯爆撃みたいになります。気をつけましょう。僕は反省しています。


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