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映画レビュー:No.718 女と男の観覧車(原題「Wonder Wheel」)

女と男の観覧車
109分 / アメリカ
公開:2017年12月1日(日本公開:2018年6月23日)
監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ウィンスレット
ジャスティン・ティンバーレイク
ジュノー・テンプル
ジム・ベルーシ







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。



最近ようやくブラックコーヒーが美味しいと感じるようになってきた。

▼ままならない現実に妥協することを許さない登場人物への鬼の厳しさ
ウディ・アレンらしいエゴイスティックな恋愛観は相変わらずなのだけど、本作はそのから騒ぎを徹底して突き放す冷たさがある。もちろんそういう客観性はコメディとしても大事な部分なのだけど後味はとことんビター。
理想に対する諦観の距離感がウディ・アレン作品を観る面白さだと思うのだけど、本作はままならなさに対してどこかで折り合いをつけてそこそこハッピーに行こうぜ!なんて甘えすら全く許さない。
ブルージャスミンととても近いものを感じる。意地悪を通り越して鬼の厳しさ。

▼ウディ・アレンの恋愛観~誰かの幸せは誰かの不幸であるという話
ウディ・アレンの恋愛観というのは上手くいくなら何でもあり的な側面が多分にあって、その証拠にと言うべきか誰かが不幸にならないと自分が幸せになれない話ばっかり作ってる。
恋愛っていうのは理屈や良識よりも先んじるからどう頑張っても不可避なんです、という自己肯定みたいな感じ。同意するかどうかはさておきそういう人の作った映画だと思うと面白い。怒る人もいるだろうけど。

▼夢見ることの業~ここではないどこかの可能性にベットすることの代償
「ここではないどこか」や「なりたい自分」という理想、救いを追いかける人物たちが描かれるのだけど、常に共依存の幻想としてしか関係性が機能しないのが痛々しい。割り切ればそれなりに幸せというところを「それなりじゃ嫌だ!」と欲張るから結局全部失ってしまう。
恋愛に夢見ることの業というか、夢を見ないと生きられないなんて言ってるやつは夢から覚めたらどうなってしまうのかという一つの絶望的な可能性の話という感じがする。
振り出しに戻っただけなのだけど残っていた可能性も全て使ってしまった分いよいよお先真っ暗というとても厳しい結末。ラストのラストに劇中唯一一貫して成長も後退もしていないあるキャラクターを映すのも「別に何も変わってないんだけどね」という皮肉が効いてて困っちゃう。

▼映画作りという現実逃避
ウディ・アレンは「いつか本当の自分を見つけてくれる男が現れるはずだ」なんて幻想に囚われる女性の描写が続いてて、なんていうかあんたがそれ言うとめちゃめちゃ怒られると思う。
まあ自分の殻に閉じこもってるだけだと思うけど。フィクションで自分を慰めないと世界に殺されると思ってそう。
そういうところが面白いんだけどね。クリエイティブで結構なことだと思う。

★★★★★★★★ / 8.0点

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