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映画レビュー:No.697 港町

港町
122分 / 日本、アメリカ合作
公開:2018年4月7日
監督:想田和弘
出演:ドキュメンタリのため割愛







ネタバレはありません。




洋服がいつまで経っても柔軟剤の匂いをまとってくれない。

▼押し付けがましさの無い面白さ
本当に押し付けがましさの無い面白さで今年一番劇場で笑った。
冒頭の「アメリカ?日本語わかるの?」に始まり後期高齢者とかDOG HUNTINGとか、とてもよくできたコメディシーン、パンチラインが多数。
基本的にカメラに対する不信感が無いから演じない人の面白さとか日常のドラマみたいなのがどんどん出てくるのだけど、それが何も特別でないということと両立している事に最終的には感動すらしてしまう。
日常的なやり取りとか日々の営みとかそういう当たり前の生活でも映してるだけで面白いということは、例えばこんな自分の人生だって豊かなものかもしれないという肯定感がもらえるというか、上手く言えないけど頑張ろうと思った。
というか単純に映ってる世界が平和で心地いい。宅配で人の家の扉をすぐ開けようとするのとか笑った。

▼作家がエゴを取っ払った先にある自由な創作の素晴らしさ
作家が主張したいなにかっていうのが一切無いのだけど、そこにいる人を撮っていたら社会システムや人生のドラマなど後ろ側に広がる大きな世界も結果として見えてくるっていうのも凄くいいなと思った。
クリエイターがエゴを取っ払って創作の前で素直になったら結果として素晴らしいものができるというのは感動的だよね。
ドキュメンタリにしか許されない反則級のフリースタイルなんだけど、その予測不能でコントロールできない何かが他者と生きるということなんじゃないかと思ったりする。

▼"撮れてしまう"ものの映画的奇跡
しかもこの映画にはそれ以上の映画的奇跡がたくさん起きていて普通にドラマチックでビックリしちゃう場面もいっぱいある。場面もどんどん移り変わるしそのダイナミズムもとても映画的。
二幕目にある港町の流通のサイクルを撮影対象を変えながら追いかけていくところとか一連のシーンとして出来すぎてるくらいでとても感心した。
その中でも特にあのばあさんのウインドブレイカーよね。レンズの動きが「!?」て言ってて笑った。

▼作品から感じる寓話性~モノクロという唯一の作家的主張
利便で生活の豊かさを図らないのもとても居心地が良くて、昔から変わらないし変わる必要もないし変わる気もないっていう考え方は現代社会にもっとあっていいのになと思う。
システムではなく人が社会を成り立たせている事がよくわかる。こうあるべきとは思わないけれど、ある意味この平和な空気こそが作品の主張のようでもあるし、そこを寓話的に見せる意味でもモノクロの画調がいい意味でフィクショナルな手触りを強調している。ノスタルジーのようでも未来の話のようでもあるというか。

港町の生活いいなと思った。
6月にはイメージフォーラムで想田監督の全作品を上映する特集があるらしくて、ついにイメージフォーラム会員になってしまった。もちろんもう一本控えている新作「ザ・ビッグハウス」も楽しみ至極。
正直年会費2000円はちょっと高いと思うけど、想田監督だけでお釣りが来るぜ。

★★★★★★★★☆ / 8.5点

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