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2017

映画レビュー:No.531 午後8時の訪問者(原題「La fille inconnue」)

午後8時の訪問者
106分 / ベルギー、フランス
公開:2017年4月8日
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:アデル・エネル
オリビエ・ボノー
ジェレミー・レニエ
オリビエ・グルメ







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





香水は昔からサムライライト一択。

▼登場人物に対する印象
ジェレミー・レニエは安定のろくでもなさ。僕の観てる限りではダルデンヌ映画に出てくる彼はいつでもダメなやつ。

元々当事者じゃない人物が当事者性を獲得する導入は上手いなあと思ったのだけど、その後は無理やりドラマを作っているような不自然さの方を強く感じてしまった。
主人公は事件を防げたかもしれない可能性について罪悪感、責任感を感じているけど個人的にはお前がそこまでする必要も権利も無いし「私は医者なので」という理屈で言えば尚更折り合いを付けるべきだと思った。倫理的な是非については拒絶反応も含めて演出されていると思うけどだからこそ一人の人間としての彼女の行動に納得ができなかった。
僕が患者の立場だったら嫌だもん。なんなら怖い。言いたくないから「知らない」って言ってんのに「脈が早まったから何か知ってるんでしょ」って詰めてくるし、知ってたとしてなんであんたに言わないといけないんだって感じじゃん。あんた関係ないし、事情聞いてもやっぱ関係ないしって感じ。
監督は「償い」という表現をしていたけど僕はそれが自己満足に映った。悪い人ではないんだけど余計なお世話ばかりしてる。

▼ダルデンヌ兄弟の映画の手触り
ダルデンヌ兄弟の映画を観るのは三作目だけどいつも「考えなさいよ」という事を言ってるよね。そしてそれも含めて映画の感じ方に自分と"他者"との距離感が出るように思う。
劇伴の無い長回しの多用も客観性を強調しているし登場人物の内面よりも行いの印象を問う感覚が強い。手法としてのサスペンスやミステリーも内包しているけど(まあそれが全くない映画なんて無いけど笑)、映画の中の謎解きや「選択と結果」に安易なカタルシスを設けていない。
本作に関してもスクリーンの外側に向かっていく手触りは相変わらずなんだけど、だからこそここまで映画の中に結論(物事の顛末)を用意する必要はないんじゃないかとも感じた。安易だし都合がいいと感じる部分もある。

まあ登場人物の行動が納得できないっていうのは自分でもあんまり良い感想だと思わないんだけど、ダルデンヌ兄弟の作劇ってあなたならどうしますか?って問いかけを内包している分そういう部分で距離を感じるとこもある気がするな。

★★★★★☆ / 5.5点




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