27
2017

映画レビュー:No.535 堕ちる

堕ちる
32分 / 日本
公開:2017年4月8日
監督:村山和也
出演:中村まこと
錦織めぐみ
古川順
金子昌弘







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




前回のバーニングオーシャンの感想が個人的にちゃんと書けた!って手応えありすぎて普段やらない更新の告知とかしちゃって自意識ダダ漏れで恥ずかしい!ってなってる今頃。

▼性急で説明的な作劇~短編の最短距離な語り口
シネマート新宿のスクリーン2は久しぶりだった。同じ建物でも角川シネマ新宿の小さい方よりは少しだけ使いやすい。でも新宿で最弱のスクリーンの一つだと思ってる。

主人公が地下アイドルに堕ちていくのがあまりに真っ逆さまに一直線なので分別ある大人がこんな我も忘れてのめり込むもんか?と心理的な飛躍についていけない部分もあるんだけど、主人公がのめり込みを深める一つ一つの出来事、特にそのシーンの撮影と役者さんの表情の演技で面白く観れる。
主人公が機織り工場で働いてたり舞台が群馬の桐生だったり何でわざわざって設定が多いんだけどこの作品が元々桐生映画祭の町おこしのための短編を作るというプロジェクトの助成金で始まったものだかららしい。

主人公が床屋で看板娘と出会って、その娘が地下アイドル活動をしてて、と割と唐突にドラマが始まる。
まあ短編映画の話運びに対して詮無い指摘とは思うけど全てのシーンで物語がわかりやすく進むのが性急だし説明的に感じる。
だって工場では長く働いてる感じの主人公が常連であろう床屋で娘さんとだけ初対面ってのはおかしいじゃん。そういうリアリティの飛躍というか作為的なドラマチックさを「まあ仕方ないか」と忖度しながら観る感じが強い。

▼ベタな話を面白く魅せる主人公の演出の工夫
ライブとか握手とかでドキドキしちゃってアイドルにのめりこむって別に真新しさ一つもないと思うんだけど、主人公が一言もしゃべらないという演出をしている事で全てのシーンがコメディとして面白く観れるのが上手いと思った。
曲にハマったら仕事中だろうとなんだろうと両耳イヤホンで終始ノリノリになったり、応援しているめめたんのために何かできないもんか...ってアイデア閃いて衣装デザインを本当に文字通り一から勉強したりやる事がいちいち極端なのも笑えた。しゃべらないって設定とか表情の乏しいオッサンって事もあってめちゃめちゃサイコパスぽかった。

▼物語的なパンチの弱さ
個人的には最終的には主人公がヤバい方向で擬似恋愛を勘違いしたり、アイドルがメジャーにフックアップされて地下アイドル時代を黒歴史として封印するみたいな裏切られがあったり、何かしらハードな展開になるんだろうとは思ったんだけど、現状では主人公が自殺未遂をするほど追い込まれるような事態に感じられなくて正直ドラマとしての手加減を感じるというか、まあ甘っちょろいなと思った。
もしかしたら最初から最後まで主人公の一方的な勘違いでしたって事で筋は通ってるのかもしれないけど、だってあれは娘ちゃんが置いてった衣装を親父が勝手に返しに来ただけじゃん。せめてあの彼女が地下アイドル時代をどう思ってたのかが匂ってくるような、例えばツイッターアカウントが無くなるとか主人公たちから観れば心無いつぶやきをしてたりとか、あの衣装について本音ではどう思ってたのかを知るとか、主人公に自殺未遂をさせるくらいならドラマ的にもっと具体的に容赦なく追い込んでいいと思う。
あの父親がぬるっと娘のアイドル活動を知っている体になってるのも気持ちが悪い。(まあ成り行きで知ったんだろう)って言えるかもしれないけど少なくとも映画の中でそこに言及しないのは結果として不自然だしだったらそもそもを知らないなんて設定にしないほうが良いと思う。

自殺未遂からラストの流れも僕には意味不明だった。どういう気持ちの変化を描いているのか全然わからなかった。
あの社長があの衣装を見て機織りの私物化を責めるでもなく「良いじゃない!」って全面的に認めちゃうのもホント都合がいいし「そんなんだから経営が傾くんだろ」と思う。
アイドルに造詣の深い人ならあそこの飛躍に「なるほどね!」と納得できるものなんだろか。

まあ小品だし短編とはいえ映画は初めてとの事で垢抜けなさはある程度は仕方ないとも思うけど、だからこそもっと突き放したり尖った作りにするべきだったと思う。
絶望したり、嫌な気分にさせたり、皮肉を言ったり、この話にはもっと突き詰める余地がある。まあそこは町おこしのために作られた作品だからキレイにまとめなければいけなかったのかもしれないけど。
物語の展開はどベタ中のどベタ(「ド下手」ではなくね!)なので短編とは言えキャラの面白さだけではドラマ分のスタミナが持たない。

★★★★☆ / 4.5点



関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment