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2017

映画レビュー:No.539 羊たちの沈黙(原題「The Silence of the Lambs」)

羊たちの沈黙
118分 / アメリカ
公開:1991年2月14日(日本公開:1991年6月14日)
監督:ジョナサン・デミ
出演:ジョディ・フォスター
アンソニー・ホプキンス
スコット・グレン
テッド・レヴィン







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




最近ebayという海外のオークションサイトを発見した事で発生した物欲の勢いが凄まじくこのまま素直に従うと破滅的に散財してしまいそうなのでここ数年で一番頑張って自制してる。

▼レクター強すぎ問題
ジョナサン・デミが亡くなったという報を見て僕も何か追悼の意を捧げるべくここにきて初めて「羊たちの沈黙」を観た。ジョナサン・デミもきっと僕みたいなにわかには別に追悼を捧げてもらわなくてもいいと思ってるだろうな。生まれ変わったらあんたの作品をリアルタイムで観られるよう頑張るよ。

映画史に残るサイコキラー、ハンニバル・レクターってのはどんなもんじゃい。っていうのが作品への興味として一番強かったんだけど、初登場時から大袈裟なくらい物々しく堅牢な拘束の演出と語る人全員が「あいつはやべえ」とやたら煽る事で高まる相対評価によるマッチポンプ構造で引っ張る雰囲気サスペンスの部分が大きい。
具体的に何が凄いのかあんまりわからないし実際具体的な実害を出すシーンでも「そんなことが出来るのか!?」っていう、もうリアリティとかそういうのを超越したスーパーサイコパスだった。
隣の牢屋の囚人にブツブツ文句言って呪い殺したりするからなあ。ちょっと強すぎないかと思う。
中盤に脱獄するシーンは観てる時は面白いけど無理あるわなあんなの。多分ハードルが高過ぎるんだと思うし2017年のリテラシーで観ればキツい部分がある。脈とかちゃんと取ってんのに警察欺けるんだからやっぱそもそも持ってるモンが違うんだろうな、ってそれは有りなのか?

▼クラリス弱すぎ問題
ジョディ・フォスター演じる主人公クラリスの演出にしても男性に囲まれた時の緊張感とかレクターを相手にした時の動揺がダダ漏れの感じとか内心をセリフで説明されるわけではないにしろ演出的には充分説明的な描かれ方をされてるように見えて、単純に警察として優秀な人物に見えなかった。
特にレクターのカウンセリングには大抜擢!って感じで言われてるけど割と最初から主導権取られまくり、掌で踊らされまくりで主人公が主人公であることに映画としての必然をあまり感じられなくて辛かった。
都合がいい、っていうより設定とか諸々そっちのさじ加減だよなって。

▼少し古い映画に感じる事
80年代の映画とか(この映画は91年の作品だけど)映画の内容に対して密度が低いなと感じる事が多くて、それはまあ今に至るまで色んな頭のいい人たちが絞り出したサスペンスの構造や脚本的なツイストのパターンの果てに2017年仕様の僕の映画的リテラシーのベースがあるからっていうのはしょうがないよなあと思いつつ悔しいというか残念な気持ちになる。
細かい部分で言うと「一見意味がなさそうに見えるシーンでのストーリーテリング」の技術が未成熟というのが結構大きい気がする。シーンで描かれてることが露骨っていうか、意味のないシーンが無いというか。まあ逆にタルコフスキーみたいに意味がわからんってのもそれはそれで困っちゃうけど。
そういう時代ごとの「突き詰められた描写」ってのは決着のロジックなんかにも出る気がする。この映画もラスト近くで主人公が絶体絶命になって「こんな絶望的に不利な状況でどうやって逆転するんだ!?」と思ったらなんかたまたま勝った。びっくりした。
物語自体の引っ張りの構造というか思わせぶりな緊張感は比較的楽しく観たけどね。

★★★★★☆ / 5.5点




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