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2017

映画レビュー:No.547 トトとふたりの姉(原題「Toto si surorile lui」)

トトとふたりの姉
93分 / ルーマニア
日本公開:2017年4月29日
監督:アレクサンダー・ナナウ
出演:ドキュメンタリのため割愛




この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




3キロ増量したよ!順当にマッチョになってる!この調子で行けば一年後には筋肉お化けという異名をほしいままにしているだろうね!!

▼饒舌すぎる編集と撮影
年端も行かない子供が寝ている隣でジャンキーがヤクをキメたり、男の子がダンスに魅せられる瞬間だったりこれが本当にドキュメンタリならとんでもない瞬間をいくつも捉えていると思うんだけど、「これが本当にドキュメンタリなら」なんて持って回った言い方をしたくなるくらい撮影が見え透いて作為的で全然素直に観れなかった。
例えばひと繋ぎの発言の中でカットを割るとか、部屋の向こう側でヤクをキメる男たちと反対側で居心地悪そうに黙って座ってるトト少年をカットバックで見せたりとか、凄く的確なタイミングで表情のアップのリアクションを抜いたりとか(回してる中で表情を見つけて寄る、とかではなくパシッとアップのカットが挟み込まれる)凄く劇的な絵作りを意識的にやっているし、このやり方で撮ってたら現場はカメラマン複数体制でどこかしら写り込んでもおかしくなさそうなのに全編この調子の的確さを保ちながらワンシーンたりとも撮影者の存在を匂わせるようなそつを見せないのが妙に人工的な手触りで気になって仕方なかった。
裁判所もヤクをキメる家の中もめちゃめちゃカメラ回してるし、肩なめで奥の人物を捉えるカメラアングルとかほんとカメリハしたんじゃないかってくらい毎回キメッキメで、穿った見方かもしれないけどモゾモゾしちゃった。
端的にドキュメンタリにおいてモンタージュ手法は語りとして向いてないんだと思うんだよなあ。それがモンタージュであろうがなかろうが。このカット割りの細かさが僕には作り手がリアルを写し撮る忍耐が無いように感じてしまった。もしくは自分の演出に酔ってるか。どちらにしろあんまり印象は良くない。

▼映した映像を素材として自己主張する作品のバランス
メイン被写体の三姉弟はそれぞれがそれぞれにすんごいドラマチックでむしろ作り話として観ても成り立つくらいなんだけど、そういう作り話のような本当の話を語るのに作り話っぽい見せ方をしたらそりゃあドキュメンタリとしての信憑性は薄れるわな。かと言って作り話として割り切ってみるにもノイズが多い。
個人的な印象としては中途半端というよりは手法を間違えてるし演出も虚を加えているように感じる。一言で言うとこの手のドキュメンタリとしては珍しいくらい作家の自己主張ばかりが鼻についた。
映したリアルを素材として扱ってる感じっていうのかな。うーん。もちろん全部の映画は大なり小なりそういう側面があるし作家のエゴが一概に悪とは思わないけどこの題材の場合もう少し被写体に対する思いやりが必要なんじゃないかな。

★★★★★ / 5.0点


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