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2017

映画レビュー:No.548 夜明け告げるルーのうた

夜明けを告げるルーのうた
107分 / 日本
公開:2017年5月19日
監督:湯浅政明
声の出演:谷花音
下田翔大
篠原信一
柄本明
斉藤壮馬
寿美菜子
千鳥







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





自分の活躍した試合の動画を観ながら飲む酒は美味い。

▼何はともあれねむようこ!
キャラクター原案でねむようこ!!全然知らなかったからオープニングロールで名前見つけた時思わず「マジかっ!!」って声が出ちゃったねむようこ大好きマンの僕。
言われてみれば作品の楽天的な感じというか登場人物の飲み込みの速さの飛躍の軽やかな感じとかはどことなくねむようこのテイストっぽくもある!ってのはねむようこ史観が進みすぎだろか。ねむようこの作品はいつも結論がどシンプルで、読んだら「ウジウジ考えるのとかやめよう!」って気持ちになるところが好きだ。
どのキャラクターのもしっかりねむようこの絵で大好きな作家が評価されて嬉しいなあ、、、って心が嬉し涙で水没した。
とりあえずみんなこれを機にねむようこを読んでくれ!オススメを何本か紹介しておくね!午前3時シリーズはある日マンガを全く読まない母が僕の本棚から持ち出して「面白いわねえ」って全巻読破してた。笑




▼脚本的なご都合主義のバランス
親の離婚で海辺の父の実家に帰ってきた心を閉ざした少年がバンドを始めて人魚と出会って、って突拍子の無いお話ではあるなと思う。
「変わらない日常の中」に「いつもと違う出来事」を起こすのって脚本的に凄い難しい。ずーっとこうやって生きてきたんだろうなっていう主人公に人生変える級の出来事を起こさないといけないんだけど、展開あり気に見えたり「なんでこの主人公だけ特別好かれるんだ?」ってご都合主義を感じさせてしまうのはちょっとロジックや描き込みの弱さからくるかなと思う。
特に人魚の人懐こさを考えるとここに来て急に人間界と接点を持つ必然性が弱いっていうか、こんな理由でエンカウントしてたらもっと早くにひと目に付くだろ!って思った。せめて人魚島に行って初めて会うとかにしとけば主人公たちがバンドの練習をすることで人魚と出会うって展開も有りになる気がするけど最初から家の近くまでルーが来てしまっているので尚更ロジックが弱い。

それも含めて全体的に物語の構成がド直球で、展開のためのつじつま合わせに感じる飛躍も結構あったと思う。
湯浅監督作品は今までそういうご都合主義をアニメ表現それ自体の面白さやそれを含めたカラフルな雑多さでねじ伏せていたのだけれど本作のリアリティではそういう楽しさがあまり発揮できないぶん少しバランスが悪いように感じた。逆に意外なくらい「脚本」と「テーマ」が第一印象としてかなり前に出てた。
とはいえ本作もポップでネアカ。特にシュールギャグのテイストで凄く湯浅監督の持ち味が出てる気がする。シーンのリアリティがどこにあるのか全体的によくわからないっていう。ルーが足で踊ってる時は人魚とは認識しない、、、ってことよね?とかこのめちゃめちゃでっかいお父さんはスルーなのね!とか。笑

▼湯浅監督の性善的な物語
湯浅監督の作品はいつも「肯定」を描いてる。本作もジェノサイドが起こりかねないくらい殺伐とした展開もありながら最後は共生とか、助け合い、相互理解、赦しと一つ一つ作中の遺恨を丁寧に解消して最後にはスカッと雲一つない青空みたいな気持ちで劇場を出れる。物語の中の否定の視点も最後は全て肯定に塗り替えられる。
何ていうか、音楽が好きな人魚と出会ったり(夜明け告げるルーのうた)一年みたいな一夜を過ごしたり(夜は短し歩けよ乙女)、不思議な出来事をもっと受け入れて楽しもうよっていう気持ちにさせられる。自分にはまだまだ知らないことがあるって嬉しいことだし、もしそういうものに出会った時に疑心暗鬼とか利潤追求じゃなくて手を取って踊れる方が楽しいよ!って。
だから人魚があれだけヒドイことをされても人間を憎まず助けてくれるところに僕は凄く感動した。「ヘイトじゃなくて歩み寄ろうよ」って、それは現在社会の息苦しさに対してみんなが信じていたい感情なんじゃないかと思う。だからこそ物語がこうやって力を発揮するんだと信じたい。
それはファンタジーかもしれないけどだからこそフィクションで描く意義があると思う。

▼荒唐無稽をどう捉えるか
まあ正直「んなわけあるかいな!」っていう荒唐無稽さでリアリティラインが乱高下するようなバランスの悪さも感じるんだけど僕はそこも比較的楽しんで観た観客ではあると思う。「あっ、それはアリなんだ」とか「そこはスッと納得して進めるんだ」って飛躍と直線的な脚本の食合せがちょっと悪いのかな。
終演後に前に座ってた大学生くらいの男の子二人組の片っぽが「いや、人魚よりもワン魚に衝撃を受けろよ。」って言ってて笑った。
いつもの湯浅監督はもう少し上手に料理してるかもなとは感じた。

あと湯浅監督は恋愛の描き方がいつも下手だよね。笑 「えっ!?恋愛的に好きになるの!?こいつを!?」っていう。
今作なんかルーは明確に幼児じゃんよ。あんなのにキスされて中学生の男子がデレデレすんなよ。笑

★★★★★★☆ / 6.5点

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