02
2017

映画レビュー:No.552 LOGAN/ローガン

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137分 / アメリカ
公開:2017年3月3日(日本公開:2017年6月1日)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン
パトリック・スチュワート
ダフネ・キーン
ボイド・ホルブルック




この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




ヒーローインタビューをヒロインと言う人とは仲良くなれそうもない。

▼"シリーズ最新作"ということ~門外漢はお呼びじゃねえ!という作り
X-MENシリーズはウルヴァリン単体の作品はもちろん観たことが無いどころか本ちゃんのシリーズもほぼほぼ未見で、唯一ウルヴァリンが3秒くらいしか登場しないファースト・ジェネレーションだけをブルーレイまで所持して何回も観てるっていうかなり偏ったリテラシーの筆者。予告編と巷の評判の「今回はすげえ良作の匂いがする!!」って空気にまんまと当てられて期待感に胸パンパンに膨らませて劇場に行った。
そしたら思った以上に「てめえはうちの客じゃねえ!」って手荒な接客をされて、観終わる頃には何をそんなに楽しみにしてたのか思い出せないくらい「そういえば俺はこのシリーズの門外漢だったな」っていう現実を痛切に実感しながらトボトボと帰路についた。盛り上がらなかったデートの後みたいな気持ちだった。

▼脚本のテンポの悪さ~平場とアクションシーンのバランス
すっかりクッタクタのおじいちゃんになったウルヴァリンともっとクッタクタのおじいちゃんのチャールズ・エグゼビア、ウォーボーイみたいなキャリバンって青年がメキシコの片隅でひっそりと暮らしながら隠居の計画を立ててるんだけど「新しいミュータントが現れた!」つって運命に巻き込まれるような話。
物語としてわからないところは一つも無いんだけど「今は追手が来ない」って時間にやるキャラクター描写のパートと「追いつかれたから戦う!」ってアクションの展開、一つ一つのシーンも全体の構成もめちゃめちゃテンポが悪く感じた。平場とアクションシーン、それぞれで話が進むスピードが遅すぎるし戦い!休憩!戦い!休憩!戦い!休憩!戦い!休憩!ってくらい緩急がくどくて、こんなことやってたらいつまで経っても話終わらないしもう少し色々な説明を同時に済ませるよう描けないものかと思う。137分って数字以上に長く感じた。
人間ドラマに関してはここに至るまで色々あったからこそグッとくる話になってんだろうと思いつつここに至るまであった色々を全然知らないからウルヴァリンのチャールズへのアンビバレントな気持ちとか疑似家族になっていく物語とかあくまで「理屈としてはわかる」っていう脚本の要素として冷静に観てしまった。
どこにぐっと来たら良いものか、という気まずさが募るばかり。一応シリーズファンならこういうところにぐっと来てるのかもという事はかろうじて伝わるけど正直その類推の連続で終始頭を使うもんだから観終わってすごく疲れた。

▼こけおどしな悪役
悪役に当たるやつがキャラが立ってる割に鉄の棒投げられて気絶したり、テレパシーでヘロヘロになってる間に敵に逃げられたり、隙を付かれて手榴弾を取られたり、最後はミュータントキッズによってたかってボロンチョにされたりと良いとこ無しだった。
手が機械の件とかも全く説明されないし、キャリバンをとっちめて利用してやれ!ってのも物語的に全く機能してないしこけおどしも良いとこだ。何より手榴弾あたりから「こいつ大したことないんじゃね?」って見えてしまうのが残念極まる。
前作から出てるキャラなのかな?とも思ったけどご丁寧に自己紹介してくれるあたり凄い本作限定仕様な描かれ方だし、まあ作品を跨ぐほど美味しいキャラにも見えないし、かといってやっつけても全然カタルシス無いしすごい不思議だった。

▼R-15な暴力描写
描写が悪趣味なくらいエグいのは良かった。正直そこまでやる必要が全くないところまで含めて。チャールズのサイコキネシスで動きが止まってる敵の部隊の頭を一人ずつ串刺しにしてくとことか無駄にバイオレンスで笑った。
劇中3、4回首チョンパが出てくる。R-15まで付けてガキは帰れとばかりにハードコアな仕様。X-MENってそういう客層を相手にしたシリーズだったんだと初めて知った。

▼物語の責任の軽さ
女の子がしゃべらない件とか逃避行の目的地の件とかなんか処理が雑で、それも含めて脚本が全体的に行き当たりばったりで弱いと思う。
中盤に絡むちょっとギョッとする程残酷に殺される家族のところとか、チャールズのウルヴァリンへの感動的な告白は空振りだし女の子と少年の心の交流も中途半端だしX-24を登場させるために罪の無い人達がゴリゴリに巻き込まれるし映画全体のご都合主義感の中でもこのシークエンス前後で語られる要素は特にもうちょっと上手く描けなかったのか?と思った。
ミュータントはどこまで行っても人間と共生できないって事なのか?せっかく希望になり得る若いキャラクターを出したのに、それってどーよ?笑
明確に主人公たちのせいで犠牲になった一般人がいるのに責任感が軽い。一応言及するけど口で言うだけでめちゃめちゃ安っぽい。「背負って生きろ」って言うならその後にちゃんと女の子が人助けをするってシーンとかがないと暴力の責任について何をどう学んだのか全然わからないよ。
内輪の感情で話をキレイ事でまとめすぎな気がする。

★★★★★ / 5.0点





それにしてもウルヴァリンってドル箱看板キャラクターが死んでもシリーズをまだ続けるつもりってのは強気だねえ。


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