23
2017

映画レビュー:No.565 ドッグ・イート・ドッグ

ドッグ・イート・ドッグ
98分 / アメリカ
日本公開:2017年6月17日
監督:ポール・シュレイダー
出演:ニコラス・ケイジ
ウィレム・デフォー
クリストファー・マシュー・クック
オマール・J・ドージー







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




最近めっきり記事に拍手がつかなくなってとっても悲しい。
と書いてたら更新までの間に前回の記事に拍手がついてとっても嬉しい。

▼バイオレンスなトラジコメディ
世界観で言えばノワールになるけど決して上等な人間の話ではなくムショ帰りの低能低俗な連中が頭悪いなりに考えて結局失敗するという、そういうコメディだと思う。バイオレンスではあるけど。
「ドッグ・イート・ドッグ」というのは食うか食われるかみたいな意味らしく今作の場合は悪いやつが悪いやつから奪うって内容を示唆しているんだとか。勝手に目くそ鼻くそ的な意味なのかなと思ってたけど近からず遠からず。
基本的に登場人物は至って真剣なのだけど映す側がそんなやつらをバカにしてる。僕もこいつらにはあんまり殺されたくないな。

▼キャラクターの信用の無さ
オープニングシーンから潔く登場人物の信頼を放棄するんだけどその後も別に観てる人の裏をかくような事もなく同じようなノリで主要の3人が動き続ける。一応本人たちは自信満々で大丈夫大丈夫なんて計画を実行に移すのだけど正直何が大丈夫なのかさっぱりわからんくて割と四六時中心配になる。
最初の強盗は何とか成功するんだけどこんな低いレベルの不安を覚えるサスペンスは初めてかもしれない。自制の効かないやつが銃を持ってるっていうのそれだけでめちゃめちゃ嫌な感じがしていいね。

そんなこんなで第二幕に入って劇中2回目の強盗計画が始まる。さっきやったのとは入ってくる額が違うらしくニコラス・ケイジも「これを成功させればこんな暮らしともおさらばだ!」なんて、それを言ったやつがそんな暮らしとおさらばしたとこは観たことがないというお手本のような失敗のフラグをポンポン立てる。
「ちょっと待って!そういう計画でハワイに高飛びをしたっていうやつの話を聞いたことなくね?」「ハワイから連絡してきてないだけかもしれないじゃん」って会話がいいよね、バカで。語り手はどんどんメタなところでそういう話でーすってふざけてる。
登場人物たちは計画の段階から相変わらず危機管理がガバガバで逆に成功するなら面白いわってくらい信用がない。

▼驚きのない脚本を面白く魅せる映像とキャラクターの演出
ここから先は「本当にそんなんで大丈夫か?」と思ってたら案の定ダメで、大体そうなると思ったってくらい至極当然な失敗が続く。
人生賭かってようが冗談のように詰めが甘い。まだギリギリなんとかなるか!?みたいなサスペンスとしての興味の持続すら生み出す余地のないくらい最初の不確定要素で軽々と取り返しのつかない失敗をする。下手か!って500回くらい言った。
主人公たちがあまりに低いレベルで失敗するから脚本家はあんま仕事してないんじゃないかとすら思ってしまうんだけど映画としてはキチンと面白いところが興味深い。

編集、撮影を含めた演出で主人公たちの滑稽さをとことん露悪的に撮っててその意地の悪さとかめちゃめちゃ笑える。映画全体で凄く赤をバキッと出した画作りをしてて、割と序盤から行く末は破滅でーすって感じに見せてるのかもと思った。
ブロマンス的な部分もあったかと思えばそこもすっごい雑に反故にするし、登場人物のどうしようもなさに対して最後まで思いやりとか同情とかないのが良かった。「こいつはこのくらいの最後でいいっしょ」って感じで。

すごい面白い!とかではないんだけど僕は楽しく観た。まあ地味っちゃ地味だけどすごいブラックなトラジコメディで、今年あんまりこういうの観てない気もするし気分的にもハマって丁度よかった。

★★★★★★★ / 7.0点

関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment