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2017

映画レビュー:No.569 ライフ

ライフ
103分 / アメリカ、イギリス
公開:2017年3月24日(日本公開:2017年7月8日)
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:ジェイク・ギレンホール
レベッカ・ファーガソン
ライアン・レイノルズ
真田広之
アリヨン・バカレ
オルガ・ディホヴィチナヤ








この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





オキシーのモイストローション(男性用化粧水)がすごい!僕は元来火をつけたら余裕で火だるまになるんじゃないかってくらいのオイリー皮質マンだったのだけど、前日夜の風呂上がりにモイストローションを顔面にペタペタなじませたら次の日の夜まで顔に脂が全く浮かない!革命的だ!

▼ネタバレ無しの印象~面白すぎない面白さ
僕は本作の予告編に関してはYoutubeの広告くらいでしか出会わなかったんだけど大体はネズミがチューチューってとこでバチンとブラウザバックという出会い鼻ワンパンみたいなテンポでボコンボコンネタバレをを叩き落としてきたため、いざ観始めたら物語がどういう方向に行くのか本当に全然わからなくてめちゃめちゃ楽しかった。僕のリアクション集めただけでも結構良いCM映像出来ると思う。

宇宙での閉所のモンスターパニック物ってもろにエイリアンだし監督自身もパンフレットのインタビューなんかで「エイリアンに似てるねえ」なんて身も蓋もないこと言ってるんだけど、この映画はそういうジャンル的な型に対してひたすらリアリティだけをアップロードすることで換骨奪胎してる。
別にそれだけで手垢の付いたプロットを面白く語り直すことが出来ているし、その欲張らずに全部が全部新しくしようとはしない感じが作品規模と内容のバランスを丁度いいところに収めてて良かった。

▼驕れる人類と皮肉な運命
最近「ディストピア パンドラの少女」とか「美女と野獣」の骨董品の家臣周りの描写で似たようなことを感じたんだけど、人間は人間と言うだけで他種よりも優位、優秀であると驕りがち。危なくならないと危ないと思わないし、いつも生物として相手よりも上位の存在だと根拠もなく思ってる。何より自分の想定できる最悪が最悪の上限だと思ってる(まあそりゃそうなんだけど)。
それも含めこの映画は展開が徹頭徹尾皮肉になってる。
地上で歩くことの出来ない研究者は新種の生命体に希望を仮託してしまい大惨事を招くし最後は脚を食べられて死ぬ。子に会いたい父は救助を信じてハッチを開けてしまう。規則のために隔離を主張し続けた指揮官は最後に自分が助かる道を選択した結果より孤独に"隔離"されてしまう。80億人のバカのいるところに帰りたくないと言った彼も最後はああなる。
宇宙飛行士っていう人類の中でもエリート中のエリートですら種としては愚かです、ってさあ、何ていうかヘコむよね。笑
ちなみに最初にモンスターに襲われるヒューさん(歩けない人)は腕をバキバキ折られたら気絶しちゃうんだけど、振り返って右手を螺旋骨折してもぴゃーの一声で済んだナイスガイズのライアン・ゴズリングは本当に意思が強かったんだなと思ったね。そこで意識を保ってられるかってとこに役者としての格の違いが出るね。(出ない)
ただああいう状況で簡単に気を失えるというのは体質として得だと思う。(小物感)

▼都合よりリアルを優先するプロットの巧み
モンスターパニック物は選択と結果が運命の綾になることが多いけど、この映画はキャラクターとしてのそれぞれの選択に説得力があって脚本的にロジックの工夫がされてるなと感じた。
限定空間のサスペンスも、実際のリアルが一般人にはあんまりわからないような高度な科学考証のつくSF描写も、どんな能力にだって描ける新種のモンスターも全部都合良く描こうと思えばいくらだって都合よく描ける要素なんだけど、そこについてあまりストレスを感じないのはジャンル映画としてのプロットの肝をキチンと押さえているからだろうし、リアリティを突き詰めることで生まれる映画としてのアイディアに確信があったんだろうと思う。

▼モンスターの想像を超え無さ~"未知"ということのポテンシャルとリアリティの食い合せ
リアリティに則りすぎた事でモンスターについて「現状わからないこと多いけど多分こんな感じの生き物」って程度しか研究が進まない段階で暴走が始まっちゃって、見ててポテンシャルの余地が多分に残ってる分どんな凄まじい事になるんだって期待したんだけどそこはあんまり意外性が無いまま収束しちゃってやや残念だった。
全部筋肉で全部脳って言う割に力強さや頭の良さを活かしたような描写とかされないし、何よりわからないことが多いことでモンスターが今どこで何してるかわからないって時間に人間サイドが何をどう警戒すればいいのかわからないから緊張感が途切れてしまう。
一応アクションは起こすんだけどやってることは割とバリバリにリスキーだし、映画としては明確にモンスター待ちになってしまっているから画面で起こることが差し当たっての暇つぶし程度にしか機能してない。
だって今襲われたらどうするつもりなんだろうなあ、って思うっしょあんなの。んで実際襲われちゃうし。

あとこれは知り合いの指摘でなるほどと思ったんだけどあのモンスターに人間から見て「怖い顔」みたいな記号をはっつけるのは描写としてテーマを矮小化してる。どう感じるかはおまかせしますってくらいフラットに描ければもっと皮肉も強調されたと思う。あれはみんな知ってる類の"怖い顔"だから。バリバリ人間的な価値観になってしまってる。
あとやっぱりリスクマネジメントとして合理的に作られたマニュアルを感情論で覆すのは宇宙飛行士の描写として冷める。オデッセイを見た後だと特に。リアリティを突き詰めた物語だけにそれは凄く惜しいと思った。

でも凄く楽しく観た。ラストはゾワゾワっとしたよ。あの切れ味はグー。
皮肉な構造が最後まで一貫してるのとかとても信頼できると思った。アラもあるけど後々この映画で思い出すのは楽しかったシーンになるんじゃないかと思う。

★★★★★★★ / 7.0点




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