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2017

映画レビュー:No.570 ジョンウィック:チャプター2

ジョンウィックチャプター2
122分 / アメリカ
公開:2017年2月10年(日本公開:2017年7月7月)
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス
コモン
ローレンス・フィッシュバーン
リッカルド・スカマルチョ
リリー・ローズ
ジョン・レグイザモ
イアン・マクシェーン







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




「映画までやしまで英気を養う」の軽やかなライミングにどれだけの人が気づいただろうか。

▼主人公が流れに従う理由の弱さ
シリーズとしての貯金を完全に使い切った感がある。
ジャンル映画として多少強引でもシリーズとしての長所を強めに押し出した脚本にしたかったのかもしれないけど、僕がそもそもそういう脚本をあまり評価しないタイプってのもあるし、それにしてもあんまり上手く行ってないんじゃないかとも思う。
面白かった部分と伸び悩む部分が両方凄くハッキリと見えた。

まず「巻き込まれ型主人公としてのジョン・ウィック」って設定、無理がありすぎるよ。なぜなら彼は強いからな。
そもそも誓印に絶対的な効力があるって事なのにロケットランチャーで脅したりするから逆に「約束が破られる可能性もあるのか?」って見えてしまうし、そんな状況で主人公がどう考えてもそいつより弱いやつの言うことをヘコヘコ聞いた結果ドツボにハマるって伝説の殺し屋の名が泣くわ。
実際後に全部ひっくり返してあの野郎をぶっ殺しに行くし、実際全員ぶっ殺してしまうし、そこまでのことが出来てしまうんならもっと早い段階で色々やりようがあったろと思ってしまった。この映画のジョン・ウィックは最後の最後まで「行動に伴う結果」について考慮しないで行動してる。だからやった後に大変なことになったって気づく場面ばっかりだし、それが大して考えなくてもそのくらいわかるだろうってレベルの事ばっか。物考えられないのかお前は。
悪役との決着の付け方とかあれだと遡って全部ブレるでしょ。それでいいなら今まで観てきた話はなんだったんだ。僕はあの状況になっても「まさかー!撃つわけないっしょ!」って本気で思ってたからすっげえビックリしたし、「えっ、どうするつもりなんだろう」って観てたら普通にどうしようもなくて「なんだこれ」って思った。

▼敵の描写の一貫性の無さ~物語のマッチポンプ的構造
アクションに特化した脚本と言っても要は行く先々でジョンが大暴れするってそれだけで、そもそもどうやってそういう状況になるのかっていうとジョンは友だちから姉貴殺しのお願いをされて嫌々実行するんだけど任務完了と同時にそいつから電話かかってきて「姉貴殺したからお前を殺す理由もできたわ」って言って裏切られてそいつの送り込んできた刺客と今しがた殺した女に雇われてた殺し屋、双方から狙われて大変なことになる。ってこれ、その友だちは「今から裏切るから!」って相手に宣言して刺客送り込むなんてリスク犯す必要あったのか?
ここに至るまで色んなやつがジョンに向かって「簡単に足を洗えると思うな」的な忠告をしているし、実際ジョンはコモンと戦うことになるようにターゲットを殺したことでしっかり裏社会のしがらみに引き戻されてる。
時系列的にもロシアンマフィアをまるっと葬ったばかりのジョンに対して裏切りを宣言した挙句案の定しっかり復讐されるって、それは登場人物の頭の悪さじゃなくて端に物語として悪役を設定するために都合よくキャラクターを動かしただけだろう。
そんなんだからあのイタリア系マフィアが何をしたかったのか全然わかんないんだよ。伝説の殺し屋、ここ数ヶ月のナメられっぷりえげつないぞ。
ジョンは情緒不安定で、敵は積極的にナメた喧嘩を売って自分の首を締める。マッチポンプ!

▼物語の悪ノリ感~楽しそうなのは伝わる
まあ基本的にはどんどん理不尽な展開になってくしかない。じゃないと主人公が戦う理由が生まれないから。
ジョンもジョンでお前が蒔いた種だろって反省とか後悔も一切無く、それでいて上で書いたように戦わないで済む方法も一切考慮しないでノリノリで殺し合いに応じるから段々映画全体が開き直ってくる。そこに関してはあんまりにも堂々としてて笑ってしまった。殺し合い撮るの楽しー!って感じなんだもん。
もう無双シリーズかってくらい数え切れない敵を千切っては投げ千切っては投げするくせに常に一人ひとりをしっかり全力で憎しみ込めて葬る。もう超悪ノリって感じなんだけど演じてるキアヌ・リーブスも楽しそうでこちらも嬉しくなる。

▼バリエーションの無いアクションシーンの連なり
ただアクション自体は結構単調に感じた。基本的には出会い頭に銃の抜き合いでジョンが勝つってパターンしか無い。体捌きのキレとか美しくて少年の心がワクッとなる部分も無くはないけど、コモンと戦う場面以外はほぼほぼ同じことしてばっかだと思う。
シチュエーションとかロケーションを使ったアクションの広がりが著しく弱い。

▼面白かったところ~世界観の最も強固な要素
コンチネンタル絡みのシーンはどれも抜群に面白い。シリーズとして最も強固なフォーマットの部分だと思う。
特に下準備のシーンはどれもこれも最高で、「ゴツくて...正確...」とか「裏地はどうします?」「実戦用で」とか「デザートは?」とか真似したくなるキレたやり取り多数。コンチネンタルのおかげで裏社会は今日も健全に回ってる。
、、、まあだからさあ、コンチネンタル除名されちゃったらいよいよ続編とかもう無理なんちゃうんかと思ってしまうんだけどね。オリジナリティ無くなっちゃうっしょ。

あと殺し屋が殺し屋だけじゃ食っていけないって感じで普通に働いてたりするのが面白かった。つうか殺し屋ばっかだなニューヨーク。そりゃあ食いっぱぐれるやつもいるよ。

そんなこんなで物語的には行くとこまで行っちゃったし、とにかくこれ以上戦いたくないジョンに戦う目的を用意するのはもう無理だろうと思う。もしかしたらまた犬殺されてとかその程度の動機でまたいけしゃあしゃあとひと暴れするかもしれないけど僕はそんなんじゃ納得しないからな。
まあジョンが暴れさえすればそういう納得ってのは特に必要無い。って判断をしてる可能性もあるけど、それはどうなんだろか。

★★★★★★ / 6.0点




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