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2017

映画レビュー:No.571 ウーナ

ウーナ
94分 / イギリス、アメリカ、カナダ
公開:2017年7月16日
監督:ベネディクト・アンドリューズ
出演:ルーニー・マーラ
ベン・メンデルソーン
リズ・アーメッド
ルビー・ストークス







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




最近川栄がかわええ。

▼カリコレ一発目!
カリコレ、はじめました!ってことで2017年カリコレ一発目でありんす。大体上映日とこの記事の時差で僕がどのくらい映画の感想を溜め込んでるかがわかる。世のガキどもよ、夏休みの宿題は早くやった方がいいぞ。
主演のルーニー・マーラはさておき助演がベン・メンデルソーンにリズ・アーメッドとローグワン臭強め。ルーニー・マーラはスタティックな役が似合うねえ。いい意味で。

▼役者の佇まい~画面の支配力
冒頭から"訳あり"の表現がとても上手で描かない部分を作劇に活かす作りが気持ちよく、そこに乗っかるルーニー・マーラの薄幸な佇まいやベン・メンデルソーンの都合悪いと黙っちゃうナヨッちさ、そういう非言語的なリアリティも映画を凄くリッチにしている。
画面をもたせる役者の華ってのはホント馬鹿にならない。この映画が勝っているとしたら最も大きな勝因はキャスティング含めた役者パワーにあると思う。

▼目的を描かないことによるサスペンスと編集による緩急の語り口
脚本的にはほぼほぼ会話だし過去の出来事や主人公の動機、ロケーションも含めた展開の広がりも凄くクローズドな作りの作品なのだけど、そこをダラっと映さないところに映画としての格調が宿る。
撮影がスリリングにスタティックで作品が今どこにいるのか、どこに向かっているのか見えるようで見えない、見えないようで見える観客の心理の握り方が巧みだと思った。

▼人間の複雑さ
主人公自身も明確な目的があるわけじゃなく、何なら自己破壊的で矛盾を抱えた不安定な人物なのだけれどそこがサイコスリラー的なサスペンスに見えたり過去に縛られた切実なセンチメンタリズムに見えたり心理的に重層的で複雑で矛盾する理屈じゃ無さ=人間の割り切れなさを強く感じて面白かった。観客が人それぞれ登場人物に対して違った印象を持つであろう作品。

15年前の許されない関係は13歳の主人公にとって絶対的な経験だったのだと思う。物語の中で関係が壊れて以降の最もネガティブな時期は見せず2人の関係の最中をひたすら反芻するところに主人公にとって良くも悪くもあの頃しか無いという感じが伝わる。ベン・メンデルソーンがペドフィリアだったかどうかはどちらとも解釈できるようフラットに演出されていたと思うけど、主人公にとっては自分に取って代わるような別の女の存在に最も大きな失望を感じたのかもしれないし、彼の中に自分のいない人生を見たのかもしれない。

彼女が投げやりに男を誘うのは彼女もまた彼のいない人生を探していたからだろうし、結局そこを精算するのに思い切りぶつかってみるしか無かったんだと思う。多分お互いにとってあの出来事が良くも悪くも特別だったからこそたった一日の間にここまで全てがこじれてぶっ壊れた。
あの二人の中には変わったものもあれば変わらないものもあったんだろう。

★★★★★★★ / 7.0点


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