06
2017

映画レビュー:No.577 密使と番人

密使と番人
66分 / 日本
公開:2017年7月22日
監督:三宅唱
出演:森岡龍
渋川清彦
石橋静河
井ノ脇海
足立智充
柴田貴哉
嶋田久作








この記事はネタバレを含みますがネタバレ云々という映画でも無い気がします。





実年齢より5、6歳若く見られるという件はポジティブに捉えることにしている。

▼現代時代劇というリアリティ
鎖国時代、日本地図の写しを開国派に届けようとする密使とそれを追いかける男たちの山中の逃走劇。
メインの登場人物は密使の主人公に追っ手の3人、山中で暮らす農民夫婦のみ。
時代劇というけれどあくまで物語のための時代設定であってリアリティのための時代設定ではない、いわゆる現代時代劇。
追っ手の登場するシーンで人相書きを復唱するところとか江戸文法を現代口語で解釈してるって感じがモロに出てるし、そのくらいの考証なんでリテラシー合わせてねって事だと勝手に解釈した。あそこのシーンは復唱するやつの覚えられなさ具合に「うん、俺もそんくらい何言ってんのかわかんなかった」って共感覚えて笑えた。

▼"映画の軽量化"のような試み
基本的に画面は追う側に追われる側という状況を示しているんだけど「今追っ手がこれくらい迫ってます」とサスペンスを煽ったり、登場人物の背景や感情を描きこんだり、アクションしたりっていういわゆる"映画的なストーリーテリング"にほぼほぼかかずらわず。
人物がただ歩く姿や荒い息遣いという肉体性がススキ野原や雪の山道、枝葉の生い茂る獣道、夕焼けの山肌に息づく様をフラットなタッチで捉えている。
実際映画の中ではほとんど何も起こらないというか、エンターテイメントとしての、つまり"観客を楽しませる"ための物語機能は無く、クライマックスすら平熱で映している。ト書きにすれば非常にシンプルなシーンの積み重ねなのでシーン単位で観ても物語全体で観ても緩急や起伏は弱い。「歩いてる」とか「深く息を吐く」とか「もみ合いになる」とかそんな程度の出来事をそれ以上の誇張も特別な工夫もなく撮ってる。
何も起きねえじゃねえか!と言われると全くその通りで起きる出来事も少なけりゃ盛り上げようともしてない。
映画をどこまで軽量化できるのかを試みるような66分。

▼語り口の独特さ
音楽の使い方とかで映画を観る生理として物語が前に進んでると感じるということなのか、不思議と退屈はしないのがとても興味深かった。まあ66分ってのももちろん大きくてこのテンションだと120分どころか90分でもだいぶ話は変わってくるなと思う。
こんなアプローチは時代劇に限らず観たことないし、その他の作品には無い感覚を物珍しさも込みで楽しんだ。また一つ映画的記憶の引き出しが増えたぞ。
まあ、こういう映画ばかりってのは嫌だけども。

良くも悪くもテレビ映画として観た部分も大きいかもしれない。
特別料金1000円でランニングタイム66分というのはフェアな印象だった。

★★★★★☆ / 5.5点

ちなみにOMSBの劇伴とか銃声とかが凄くエッジの効いたガンッて音で突然来るんだけどそれが結構ビックリする。
僕の斜め前で勢い良く船漕いでたおっちゃんが劇伴鳴った瞬間驚いてガバッて起きたのがウケた。


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