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2017

映画レビュー:No.583 ウィッチ

ウィッチ
93分 / アメリカ
日本公開:2017年7月22日
監督:ロバート・エガース
出演:アニヤ・テイラー=ジョイ
ラルフ・アイネソン
ケイト・ディッキー
ハーベイ・スクリムショウ
エリー・グレインジャー







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。



地元に新規オープンするシネコンがTOHOシネマズではなくイオンシネマと知ってとてもガッカリしてる。午前十時の映画祭観るのに早起きしないで行けるじゃん!って思ってたのにい。

▼開かれた解釈の面白さ
いわゆるホラーモチーフとしてアイコン化された魔女を描く話ではなく宗教社会において恐怖の対象だった魔術の扱いや、そこから魔女狩りのような疑心暗鬼のヒステリー、暴力に至る心理的プロセスを描くスリラーのような内容。
魔女の存在に関して解釈が開かれていてサイコスリラーとしてもホラーとしても捉えられるところが面白いなーと思う。あの映画の中で起こる出来事はあくまでメタファーで実際はただ単に登場人物たちがどんどん狂っていっただけって話にも見える。

▼親と子というパワーバランスのヤダみ
宗教的救いというのは本質的には主観的なものでそれゆえ平等ではないって矛盾を信仰は常に抱えているわけだけど(つまり誰かにとっての救いが別の人にとっての不条理を引き起こしたりすることがあるから)、家族という最小単位のコミュニティの中で起こる不条理について各々が宗教的解釈を突き詰めると親が常に解釈の優位に立つってのがすごーくイヤな話だった。
多分時代としては親と子の関係において今よりも厳然と立場の差がある頃の話だろうし、そういう無条件の力関係のある親に対して娘が遂にキレて「宗教とか信仰とか言ってるけど端にてめえがダメだから現実で苦労してんだろうが!」と至極まっとうに論理的なダメ出しをしたら「無礼だ!親に向かってなんて物言いだ!」と逆ギレした挙句「今のも悪魔が言わせたのか!」とかいい出す始末でほんと取り付く島がない。

▼宗教と家族の価値観の捉え方
映画における家族ってのは得てして性善的に描かれるものだし(たとえ憎しみ合ったり悲劇になる場合も「家族なのに」って逆説の意味合いが強い場合が多い)、それは現実においてもよほどのことがない限り敵対しない理由として「家族だから」っていうのはそれだけで絶対的な理屈足り得ると思ってるんだけど、本作の主人公たちの厳格なキリスト教の家庭においては信仰というのが家族よりも優先される要素になっていて身内(主に主人公)に対しても宗教的観点から容赦なく不信の目を向ける。
子供としては別に能動的な興味で信仰を持つわけでも人生が良くなるという実感があるから信仰を続けるわけでもなくただただ「そういう家庭に育った」という親の絶対的影響で信仰を身に着けなければいけないわけで、それを親から信仰を理由に悪魔や魔女よばわりされるのはだいぶキツいと思う。

僕の家族観においては家族ってのは無償の味方だし、この映画の家族の場合生活に家族以外の人間がいない分なおさら結束して信頼し合わないといけないと思うんだけど、そこが最初からグラッグラで全然信じてもらえないので逃げ場がない。
結局信仰に裏切られた主人公は最後に魔術という別の超現実的存在によって救われる。
信仰にしか心の拠り所の無い時代の話としてとても面白かった。

★★★★★★★★ / 8.0点

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