07
2017

映画レビュー:No.588 静かなる復讐(原題「Tarde para la ira」)

静かなる復讐
92分 / スペイン
日本公開:2017年8月4日
監督:ラウール・アレバロ
出演:アントニオ・デ・ラ・トレ
ルイス・カイェホ
ルス・ディアス
ラウール・ヒメネス
マノロ・ソロ








この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





東出昌大になりたい。(定期)

▼映画の生理を丁寧に活かした演出
今更カリコレ上映作品の感想とか書いててホントどうかと思う。僕が普段感想をまとめてる日記帳には「カリコレはこれで5本目。どの作品も確かにミニシアターって感じの手触りで面白い。」とか書いてある。いつの話だ。

冒頭、後にこれがすべての始まりだったとわかる強盗計画の失敗を1カットで映すオープニングシーンから「おっ!これは!」と期待値微増。この冒頭のワンカット撮影の生理を活かしたサスペンスの作りもそうなんだけどこの映画は撮影や編集、音使いなど何をどうすれば観客の緊張を煽れるのかって計算が行き届いてて凄く丁寧に映画を作る監督なんだろうという印象を持った。

▼主人公の目的の不透明さというサスペンス
邦題で「復讐」って言ってしまっているのでどうしても観ながらペイバックを予感してしまうのが惜しいんだけど(つーかネタバレだろ!自重しろ!)、冒頭の強盗シーンが終わって話が本筋に入った時にその冒頭で起きた事件と主人公の因果が中々明らかにならないところが凄く面白い。
主人公がどういう立場で何をしたいのかわからないけどどう見ても心に何かを抑えながら生きているように見えるのがとてもスリリング。特に強盗事件との関連を匂わせる断片的な情報が身近なところで見え隠れしている分、より「ここから復讐って誰にどうやって?」って興味が煽られる。

▼話の方向が確定してからの中だるみと随所に光る演出
実際復讐が始まってからは展開的に凡庸に感じる部分とか抑えた演出が行き過ぎて冗長に感じてしまう部分もあって序盤のグイグイ引っ張る面白さは後退してしまったけど、始めは突発的に人を殺してしまったように見えた主人公が一線を越えたことで情け容赦も躊躇も無い殺人マシンになる演出とか面白かったし、何ならラストシーンまでも復讐の一環として捉える展開は考えたなと思った。
特に二人目を殺しに言った時に同乗者の視点から「あっ!こいつヤバい!」って感じさせる編集の妙とか、ラストシーンの捉えようによっては感動的にも見えるシーンを音の演出で絶望感たっぷりに見せてたりとか随所に上手さを感じる。

▼良くも悪くもドライな話運びの手触り
単純に物語としてその部分を膨らませる選択をしなかったというだけの話なんだろうけど、主人公が復讐を進める中で知ることになるある隠されていた"真実"は映画の中で描かれていた要素としては結構重たい部分だと思うんだけどそこを意外とあっさり決着をつけるのが少しもったいないなと、少なくとも観ている時は感じた。
まあ映画としてはドラマの部分は一貫してドライに描いていたし、あそこを掘り下げて110分とかになるくらいなら現状の92分というこの感じの方が良いかもなとは思う。

実は周到な復讐計画などではなく主人公本人すら何をしたいのかわかってない感じとかヒロインと本域で恋仲になる展開とか意外と行き当たりばったりなところが案外こけおどしだったなあと思ったりもしたけど、今思えばリアリティ的にも物語的にもそれなりに筋が通っていたようにも感じる。
あの奥さんがどういうつもりなのかが時制の描き方とも相まってよくわからない度が最も高かった。
スペインの刑務所は面会でSEXまで出来るみたい。それ危なくないか?笑

★★★★★☆ / 5.5点

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