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2017

映画レビュー:No.590 キングスオブサマー

キングスオブサマー
95分 / アメリカ
公開:2013年5月31日(日本公開:2017年8月17日)
監督:ジョーダン・ボート・ロバーツ
出演:ニック・ロビンソン
ガブリエル・バッソ
モイセス・アリアス
ニック・オファーマン
メアリー・リン・ライスカブ







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。



自分の描く絵は顔認識されるという事に誇りを持ってる。

▼ジュブナイルコメディ
面白くって思わず連日立て続けに二回も観てしまった。リベリアの白い血と合わせて3日で3本アップリンクで観てたまたま全ての劇場を制覇。スクリーン2はちょっと動いただけで座椅子がビヨンビヨンリクライニングするので姿勢にえらい気を使った。

冒険して経験して失敗や衝突もして成長するジュブナイルらしいジュブナイルもの。
描き方次第ではかなーり感じ悪くなりそうな親の言動やいたたまれなさマックスの失恋シーン、一刻を争う緊急事態すら調子としてはコメディに演出しててずっと笑えるし楽しい作品。

主人公ジョーとパトリックはそれぞれに親への鬱憤をパンパンに溜め込んだ結果家出に至るわけだけど、冒頭の「そりゃ家出たくもなるわな」っていう親のウザったい子供扱い描写から最高に最悪で面白い。
ジョーの場合シングルファザーが子供じみた父権濫用で積極的に彼の自尊心を折りに来る。遊びに行くのもダメ、好きな娘と電話するのもダメ、そのくせ自分は彼女を自宅に招いて付き合いでやったモノポリーでは汚い手を使って勝ちにこだわるという器の小ささ。
意識的に嫌がらせのための嫌がらせをしているところが性格悪くてウザったい。

一方のパトリックは親たち本人が過保護や子供扱いに対して自覚すら無くよりタチが悪い。端的に話が通じないっていう。あの母親とか普通にサイコパスじみてて辛い。そりゃ蕁麻疹も出るよ。
メン・イン・ブラックのウィル・スミスを導き出すあの会話のどうしようもないダメさ加減とか取り付く島がなくて最悪で笑える。

▼家を建てる、という映画の中の最も大きな飛躍
んで「もーやだ!家出る!」って何故かついてきたビアジオ君含む三人で森に隠れ家、っていうより普通によく出来た一軒家を建てて気ままな暮らしを始める。冒頭にガッタガタの鳥小屋を作ってたのと同じやつとは思えない卓越した施工っぷりを発揮して半端じゃなく立派な家を建てる。直前まで一軒家ってどうやって土台組むんだろうって工事現場覗いてたりしたガキ3人で建てられる家じゃないだろ!っていうのは言わない約束。
一応劇中では何日かかりましたって言及は無いけど流石に(というか常識的に考えて)一朝一夕でできあがる代物じゃないはずで、でもその割にはジョーが親父の金を抜くカットが入るタイミングとかだいぶ早いのでここらへんは物理的にも時間経過的にも飛躍させてるのかファジーに描いてるのか、どちらにしろだいぶ豪快に話を前に進める。

▼珍味ビアジオ
成り行きで加入したくせにやたら美味しく場面を持ってくビアジオがとにかく曲者で、あいつのせいでだいぶ変な映画になってる。あんな形で主要登場人物になるやついないから!笑
多分監督も彼のことを好きになっちゃったんだと思うけど彼のギャグに関してはえらいキレキレな上に手数も押せ押せで、まあ楽しいんだけどドラマのバランスを食い破るくらいとにかく強すぎる。

▼自由を持て余すという自由
夢に見たサバイバルライフが始まるわけだけど割と早々に自給自足に挫折するので、ああもう先は短いなって感じではある。それでも男3人で自由を持て余しまくってる感じが理想の夏休みって感じで彼らが楽しそうにしてるだけでこっちも楽しい気持ちになった。
MGMTのThe Youthに乗せてスローモーションでスイカを真っ二つにするところとか光り物の驚異的な切れ味含めケレン味が過剰すぎて大爆笑してしまった。
「俺らもう大人だね!」とか言ってしまうあたりも子供じみてて微笑ましい。探検して河で遊んで飲んで食って火を囲んで歌う。最高。

それでも段々飽き足らなくなってきて(というより主人公は元々呼ぶつもりだったのかもしれないけど)想いを寄せている女の子を招いたことが結果として彼らの関係を壊してしまう。
ただジョーとパトリックに関してはその前からも割と意見が噛み合っていなくて、それがあるキッカケで臨界点を迎えてバーンと爆発する感じは共同生活あるあるな気がする。あの一件だけで起こったケンカではないぞってね。
いよいと亀裂が決定的になるモノポリーをする場面の直前には三又に枝の別れた木のその内の一本がメリメリメリって倒れるというわかりやすーいカットが入ってたりこういうとこもシュール。
まあジョーは自分で作ったルールを破り続けた末に嫌いだった親父と同じような態度、行動を取った結果パトリックと衝突してしまう。この映画、カットバックの挟みどころがすごく変で、そこでその歌に合わせてこいつとそいつを対比するの!?ってとことか、本来切なさを煽るシーンでもなんかふざけ半分みたいな笑いを取りに来るのがどういう気持ちになっていいかわからなくて呆れた。

▼後腐れ無さという青春期の余韻
ジョーは頑固にも森に残り続けてそれは一見辞め時を見失ってるだけのようにも見える。
映画的に明確に楽しかった関係性が壊れてしまったのでもう共同生活終わったのに話ダラダラ続けるのは楽しくないんだけどって気持ちがダレかけるんだけど、彼は結局父親が迎えに来たことで家に戻る事になるわけで「ああそもそもそういう話だったね」って事で僕はあの展開は結構納得した。
ラストの後腐れ無さというか何か変わったようであんま何も変わってないようでって感じも僕は妙にリアルなティーンの青春の余韻に思えた。多分彼ら親子はまた同じように喧嘩するだろうし、あの三人も何もなかったように集まるだろうと思う。
一生忘れないって言うよりあの時あんな事したけど具体的に何したとかあんま思い出せないな!って馬鹿笑いする感じっていうか、その濃いのか薄いのかわかんない温度感も夏休みっぽくて、爽快だった。

★★★★★★★★ / 8.0点

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