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2017

映画レビュー:No.591 ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

ファウンダー
115分 / アメリカ
公開:2017年1月20日(日本公開:2017年7月29日)
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:マイケル・キートン
ニック・オファーマン
ジョン・キャロル・リンチ
リンダ・カーデリーニ
ローラ・ダーン







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





最近Twitterで自分のツイートが初めてバズったのだけど意味がわからなくてめちゃめちゃ怖かった。

▼主人公レイ・クロック~目的の無いサクセスへの空虚な妄執
マクドナルドの創業者レイ・クロックの実録伝記物というくらいは何となく知っていたけど、観た人みんながマックシェイクがヤバいと言っているのでマックの高回転、低価格のカラクリについて部材品質や原価削減のエグい内幕暴露が観れんのかと期待してたらそういう方向の話ではなかった。

主人公は野心的である事が生きがいというアドレナリンジャンキーみたいな男で、飽くなき向上心と言えば聞こえは良いけど結局何がしたいかはわからないけどとにかく成り上がりたい!っていうサクセスへの空虚な妄執は何か大事なものが欠けていて非常にサイコパス然としてる。
自己実現のためには義理人情など屁とも思わず他人の誠実さを利用し、良心は裏切る。人を喜ばせたいというわけじゃなければ金を儲けたいというわけでもなく、感覚としては「世界を征服したい」みたいなそういう子供でももう少し具体的なこと言うわっていうアホくさい理想を本気で叶えたいと考えているようなやつ。

▼ピカレスクロマン~裏切り利用しのし上がるハングリーな化け物
先程書いたように裏切り利用しのし上がるっていういわゆるピカレスクロマンなんだけど、ピカレスクロマンとしてこの映画の何が最低で最高かって主人公は一人では先進的なアイデアとかブレイクスルーになる発想みたいなものは全く生み出せないって事で、困った時に適材で頼れる人材と巡り合う豪運と、何より自分が他力本願な事に対して厚顔無恥ってことが彼の最も強いところだったりする。
彼自身0から1を生み出すタイプの商才は持っていないことをわかっているので、マクドナルド兄弟に出会った件について割と臆面もなく「勝ち馬に乗りたい!」的な事を語ってて笑う。
褒めてないように聞こえるかもしれないけどそれが行くとこまで行くと本当に世界を取れちゃんだから痛快とも言えるかもしれない。
でもサクセスストーリーなのにここまで一切憧れない話も珍しいよ。笑 全然あいつになりたいと思わないんだもん。

▼ブラックボックスとしてのマクドナルドのシステムという話では無いという件
マックシェイクの件は別にさほど驚かなかった。今時もっとエグい噂いくらでも聞くじゃんかさマックは。ビーフに段ボール入ってるとかさ。(違う)
実際マックでバイトしてたことあるからわかるけど、マックの効率にだけ特化した分業の洗練されっぷりは凄まじいものがある。
でもそれを他のハンバーガーフランチャイズが同じように取り入れないのにはそれなりの理由があるし、その中にはブラックボックス的な側面も含まれるように思う。その感じもレイ・クロックイズムに通じる気がする。

▼活字化する展開の中だるみ感
レイ・クロックは契約っていう足かせによって中々思い通りに行かない状況が続くんだけどその中でも割と好き勝手やっているようにも見えて、何が出来て何が契約違反なのか結局最後までわかりづらいから場面自体にあまり駆け引きやタブーを犯す緊張感が感じられないのがちょっとダレるとこもあった。
兄弟側にレイ・クロックの動向が報告される度に怒ったり怒らなかったりするのだけど何にどれくらい怒っているのかわかりにくかったり差し当たってレイ・クロックにとって何が問題なのか、それがどのくらいの問題なのかがわかりにくかったりしてところどころ難しいなって思った。
基本商談の話になっていくからどんどん要素が活字化していくんで、映画的なダイナミズムが徐々に弱くなっていく感じもある。

ラスト、溺れる人の口にホースを突っ込み続けて全てを手に入れたレイ・クロックが、スピーチの原稿のある箇所で一瞬言葉をつまらせる。
彼の中に残った最後の良心。僕にはそれがとても哀れに映った。

★★★★★☆ / 5.5点


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