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2017

映画レビュー:No.592 ワンダーウーマン

ワンダーウーマン
141分 / アメリカ
公開:2017年6月2日(日本公開:2017年8月25日)
監督:パティ・ジェンキンス
出演:ガル・ガドット
クリス・パイン
ロビン・ライト
ダニー・ヒューストン
デビッド・シューリス
コニー・ニールセン







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。





カップ焼きそばは一平ちゃんが好きです。

▼リアリティの置き所に困る序盤
今回は過去にDCに厳しかった人も結構褒めてたりちょいと期待させるような評判もちょろちょろ聞こえてくる。
ワンダーウーマンの単体作品一作目なので彼女がどういうところから出てきたどういう人物なのかって紹介にある程度の時間を使う構成なんだけど、スーパーマンが一応「神的な存在」というメタファーとしての構図だったのに対していよいよ臆面もなく「神様!」って設定持ち込んできてこれからこの人が人間とやりあう話を観るのにこの負ける要素ゼロ感はいかがなものかと絶妙にスタンスが定まらなかった。
かと思えば普通に第一次大戦のドイツ軍との戦いでワンダーウーマンの島の戦士たちがバンバン銃で倒されたりしててこれまたリアリティラインの置き所がグラングラン揺れるし、ワンダーウーマンが島を離れる時母親から「戻ってこれなくなるわよ」って言われるんだけどさっきドイツ軍が島に来た感じからすると普通に戻ってこれると思うしそこら辺ホント都合よく設定するよなあといつものDCと同じような手触りの序盤だった。
もう少し自分たちの描いた出来事に責任感持てないもんだろか。

▼ギャグシーンの切れ味の悪さ
第一幕に関しては平場ばっかりな上にテンポが悪くて早く話し進まないかなあという感じだった。会話にユーモアを盛り込もうって姿勢は見えるのだけど僕はあんまり笑えなくてただただ退屈だった。
テンポや編集の問題もあると思うけどカルチャーギャップの視点がリアリティとしてもユーモアとしてもフレッシュさや切れ味を欠いてるから納得するにしても笑うにしても中途半端な印象なんだと思う。結局ワンダーウーマンの物分りの悪さが単純にストレスでしかなかった。

▼ケレン味優先の大味な戦闘描写
戦闘が始まったら始まったで相変わらずケレン味優先の大味バトルで今更真新しさも無いからロジックが無い分どんどん退屈になってくる。
「シールド!」とかせっかく伏線を使った戦術的な立ち回りをするところもワンダーウーマンの超人的破壊力が戦い方の工夫とかそういう細々としたロジックを全てふっ飛ばしてしまうくらい凄まじくて、総じて対人間との戦いではワンダーウーマン独力での無双状態が続く。
神と言うからにはどんな戦い方だって描けてしまうので逆にそれですっごい力持ちとかすっごいタフとかその程度の大仰さで凄さを描くのはちょっとイマジネーションが貧困でダサい。コスチュームもあんまかっこよくなかった。ガル・ガドットは可愛かったけど。

▼何でも暴力で解決するワンダーウーマン
何より正義のために戦うと言っているワンダーウーマンの描き方が人命救助ではなく結果として戦争の暴力に積極的に加担しているようになっているのはどうなのかなと思った。
一応彼女の中ではアレスによって悪に堕ちた人間を倒しているので勧善懲悪という考え方なのかもしれないけどそもそもそれは彼女の世間知らずゆえの戯言だし、実際やってることは完全に殺人マシン。
DCはいっつも一生懸命「殺してませんよ!」的な言い訳臭さを感じる描写をしてるんだけどそれを欺瞞じゃなくきっちり成り立たせたいならもう少し綺麗事じゃないリアリティを突き詰める努力をした方がいい。

戦争自体は悪いけど戦場でバッサバッサと人を殺す彼女はカッコイイのだろうか。総じて彼女を通じて戦争を相対化することが(人間の善悪の表現が)あまり上手く行ってない気がする。
ホームカミングの見事な「罪を憎んで人を憎まず」を見習って欲しい。ワンダーウーマンは何でも暴力で解決しすぎ。ラストに至ってもなおより強力な暴力で相手を叩きのめすばかり。
好きな人が死んだらそれを人類全体の問題に集約してマジギレしたり、時計台の上の狙撃手を勢い良くオーバーキルしたり、全体的に脳筋じみててあまり応援する気になれなかった。

物語的には「本当にアレスなんているの?www」っていうこっちの半笑いな姿勢を上手く逆手に取って物語の向かう方向をミスリードするような脚本は結構面白かった。
それだけに最後で結局都合よく悪役に悪を集約する描写をしているのはとてもガッカリした。現実はもっと複雑で"悪"というものには主体性が無い。根っこを断ったらハイおしまいって、戦争はそういう問題じゃないだろう。

★★★★★ / 5.0点

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