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2017

映画レビュー:No.599 わたしたち(原題「The World Of Us」)

わたしたち
94分 / 韓国
日本公開:2017年9月23日
監督:ユン・ガウン
出演;チョ・スイン
ソン・ヘイン
イ・ソヨン
カン・ミンジュン







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




FORKの凄いところは表現力だからな。韻は大前提だ。

▼学校という"世界"と上手く馴染めない主人公
初の恵比寿ガーデンシネマ。文化度が高い。

学校という"世界"で自分の居場所が見つけられない女の子が主人公。運動神経も学力もそこまでなくコミュニケーションを取ろうにもクラスの女の子グループのノリに上手く合わせられず都合よく利用されてしまう。携帯電話も持たない、ミサンガ作りやお絵かきが好きな女の子。

「仲良くしたいけど仲良くなり方がわからない」っていうのは学生時代によくある感情だと思う。こと若いうちはマジョリティってめちゃめちゃ大きなステータス(のように見える)でそういう人がマイノリティは悪いという価値基準を積極的に作っているからとっても嫌になる。そんなのはクソなんだけどね。
同じこと言っても彼女はウケて自分はドン引きされたり、ギブしてもテイクが無かったり、そうやって理由もなく否定されていると自分に悪いとこがあるのかなと思ってしまうのが子供。だから成長期はしっかりその子のアイデンティティを大人が導いてやらないといけない。

▼初めての友達
そんな主人公が夏休み前日にたまたま転入してきた娘の最初の友達になる。
当初世界は二人だけで上手く回っている。お互いがお互いに無いものを持っていてそれが幸福なバランスで成り立ってる。でも二人だからこそ少しずつ摩擦が生じてゆっくりと歪みだす。学校という大きな世界に引き戻された時には二人は別々の立場になってしまっている。
タマフル的に言えば非常に元友っぽい話の流れ。

▼好き、と裏返しの嫌い
片方は過去の苦い経験から周りに合わせることを覚え、孤立を恐れて友人を突き放す。片方は否定に慣れていて、突き放されても友を追いかける。ひどい仕打ちを受けてきっと心では傷ついているんだけど相手を否定する事はしない。自分の何がダメだったのか、何が変わってなんでそっちを選んだのか答えてほしいと思っている。
そうやって自分を犠牲にしてまで許してきた主人公がついに裏切られたという事に気づく。初めて彼女は怒り、悲しむ。
劇中主人公が唯一激しい怒りを見せるのは、好きだった人に裏切られたからだと思う。ヘイトっていうのはラブが裏返った形だ。どうでもいいやつには無関心を貫けるけど、好きだからこそその行為が許せなかったのだと思う。

▼時間経過や関係性の変化の見せ方の上手さ
映画では仲の良かった頃と悪くなってからで同じ描写を繰り返すことで関係性の変化をエモーショナルに切り取る。
主人公が用意する誕生日プレゼントの違いや同じ事を交互に言い合う押し問答、冒頭と呼応するラストシーン。
主人公がもう一度友人の気を引こうと親の金を盗んで高価な買い物をするのは本当に苦い。「金」という価値基準も盗みという手段も元はと言えば友人からの影響で、一生懸命相手に合わせようとして間違ったことをしてしまう。
主人公の親は学校での主人公の立場には鈍感なのだけど家ではとてもしっかり娘のことを見ている。ああやって常に彼女のことを支えてくれる家庭だから彼女は間違ったことを間違っていると言える優しい人間だし、ある発火点で自分が傷ついたのではなく家族を侮辱されたから怒る。

弟とのテーマに関わるある重要な会話もシンプルだけどとっても普遍的な事を言ってる超ド級のパンチライン。もういかにも大事なこと言うぞ―って言う場面なんだけど大振りしないでバット出したらホームラン打てましたってくらい力感のないまますごいセリフがポンと出てきて、「マジか、、、」って声出そうになった。
一歩間違えればいじめられっ子の不憫な理屈になってしまうけれど、あの年の子供が言うからこそ他意のない説得力がある。

人間関係ってのは面倒くさい。嫌いなやつと過ごさないといけない時もあるし、一緒にいるからムカつく時もある。喧嘩したり、失恋したり、傷つけてしまったりする。
結局自分に出来ることは素直でいることくらいだ。世界が自分を傷つけてくる中で強くいることはとても難しい。
だからこそその世界には誰かを傷つけてまで居座る価値はないんだぜ、って中指を立てる方法を誰かが教えてあげないといけないなと思う。
君はそのまま進むんだ。やがて世界が君を見つけ出す。

★★★★★★★ / 7.0点



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