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映画レビュー:No.661 ジュピターズ・ムーン

ジュピターズムーン
128分 / ハンガリー、ドイツ合作
日本公開:2018年1月27日
監督:コーネル・ムンドルッツォ
出演:メラーブ・ニニッゼ
ゾンボル・ヤェーゲル
ギェルギ・ツセルハルミ
モーニカ・バルシャイ







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。




つまらないもんとかヘタクソなもんに「逆に」とか無いから。

▼白眉の飛行シーン
主人公が飛ぶ、と言うのは聞いていたけれど寓意の割にグイグイ飛ぶんでびっくりした。(ダジャレではない)
本来もう少し客観性やリアリティを強めて抽象性や象徴性がわかりやすいように描くものだと思うのだけど「あっ、ここで飛ぶんだ」ってタイミングで結構簡単に浮遊するもんだから作劇としてもすごく不思議な手触りがある。
いかにも釣ってますって感じで自由自在な空中浮遊ではないのが見せ場としてぎこちなく見える一方で、リアリティから文字通り浮遊するような表現として彼が飛ぶ瞬間は映画としてもグッと面白くなる。

▼リアリティとメッセージのバランス
ただ全体的に彼の飛行シーンの意味付けが一貫していないようで、そういうところがちょっと作劇的に散漫に見えてしまったり。
映画を観る側だけがその事実を確認するという特権的な描き方がちょこちょこ出てくるのだけど、そういう部分が物語内のリアリティからするとズルいというか、ひいては頭でっかちな印象も感じる。
ああ、言いたいことがあるんだなあと。もちろんそれ自体悪くは思わないけれどぐいっと前に出てくるのが一本の映画としてバランスを損ねている。

▼社会派映画として
宗教的寓意と難民問題という僕の弱いとこが裏側の物語になっていて上手くテーマ的な本筋を掴むことができなかった。
表面的なストーリーはかなり社会派なテイストを含んでいる。不寛容な社会に対して社会的な地位を失った主人公だからこそすくい上げることができるものがある。
固定観念や先入観、人間の決めた概念で人は区別されるけれど俯瞰してみればみんな同じじゃないかという皮肉の物語と思うのだけど、それを総括する普遍的な価値観として宗教的な考え方があるから個人的にはこちらに迫るものがなかった。
冒頭に今日のヨーロッパの話です、ということを端的に表明するようなスーパーが出るのだけれど、それだけにリアリティを感じることは出来ない。ただ、だからこそこういう物語に触れることの意義を感じる。

★★★★★★ / 6.0点



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