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映画レビュー:No.662 婚約者の友人(原題「Frantz」)

婚約者の友人
113分 / フランス、ドイツ合作
日本公開:2017年10月21日
監督:フランソワ・オゾン
出演:ピエール・ニネ
パウラ・ベーア
エルンスト・ストッツナー
アントン・フォン・ルケ
マリー・グルーバー






ネタバレは含みません。


同級生が四人目の子供を産もうとしている。

▼不在の中心を巡る後ろめたさと嘘
ドイツの未亡人とフランスの元兵士が戦士した未亡人の夫の墓前ですれ違う。
二人は"婚約者"という不在の中心を、そこにつきまとう戦争という世界のズレを、それぞれの抱えた秘密という罪を前にすれ違うことしか出来ない。
予感だけが浮かんでは消えて、過去への思いが今を手遅れにさせる。
そこにある嘘によってみなそれぞれに救われているけれどそれに気づくこともできない。

▼淡々と見せるクラシカルな演出
戦士した夫の友人として現れたフランス人のついた嘘は奇しくも残された家族のなぐさめになる。
父親は考えを改め自分の罪を見つめる。母親は彼の言葉の中に息子の存在を感じている。主人公も生きる活力を少しずつ取り戻す。それはフランス人の存在によるものなのか、彼の連れてきた幸福な記憶の残像を辿っているだけなのか。
説明的な演出は一切無いし、決定的な出来事も起こらない。全てが不確定なままその状態の居心地につかの間の安らぎがある序盤。
物語は収まるところに収まったように見える。白黒の画面も彩りを取り戻していく。

▼時代背景の要請する映画の空気
時代設定や撮影に古い映画を観ているような質感がある。物語も演出も派手さは皆無で意味が有るような無いような、そういう厳密さにとらわれない余白のような時間も世界観として捉えている気がする。
現代のように寸暇を惜しんで何かの起きている時代ではなく、そういう中で起こる物語なのかなと思う。
密度に評価軸を置いて観ると常にイメージが画面の2個先、3個先に進んでしまう感覚が有るけれど、リアリティは映画の中にあると思って観ると少し空気を感じられるようになる。
面白いと人に勧めるタイプの映画ではないけれど面白くないという言葉もまたふさわしくない。

★★★★★☆ / 5.5点

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