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映画レビュー:No.668 デス・プルーフ

デス・プルーフ
113分 / アメリカ
公開:2007年9月18日(日本公開:2007年9月1日)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:カート・ラッセル
ヴァネッサ・フェルリト
シドニー・ターミア・ポワチエ
ジョーダン・ワッド
ローズ・マッゴーワン
クエンティン・タランティーノ
イーライ・ロス







この記事はネタバレを含みます。ご了承ください。



35年ぶりにバスタブに湯を張った。

▼僕とタランティーノ
頭でっかちなウェルメイド大好きマンとしてはタランティーノのデッコンボッコンでビヨンビヨンした脚本はいつも「これは映画の良さとして評価して良いのだろうかっ、、、!」という気持ちになるとこがあって勉強になる。
昔からシュールコメディとかトラジコメディとか中々上手く笑えなかったりするもんだから「理屈っぽい映画の見方をするね」なんてほんのり揶揄のニュアンスで言われたりすることが多くて、何とかならんもんかと思ってる。
きっとタランティーノ作品のみんなが好きなところもみんなほどは楽しめるタイプではないんだろうな。

でもデス・プルーフはめちゃめちゃ面白かった。最近ちょっと脳みそが根詰まり気味で全然上手く回転してない感覚だったので、IQ0でグイグイ暴走するタガの外れ方がとっても良かった。
全て忘れて酒でも飲もう!みたいな映画だよね。上映終わって座席でグーンと伸びをして「ああ、楽しかった!」の一言で全部完結する映画ってなんて素晴らしいんだ。

▼B級映画のフィルム上映の体験性を再現するという反則コメディ
冒頭からダブリ音飛びガンガン入ったヘタクソの繋いだフィルム映画の手触りを喜々として再現しててもう最高。
あえてガッタガタな映画を作るっていう反則コメディなんだけど今となってはこういうちんちくりんな映画体験は絶対できないわけで「映画館で映画を観るって面白いなあ」という原初的な歓びも感じるから不思議だった。
フィルム上映ってのは本来こういうもんなので寛容な気持ちで観てね、っていう意識の低さも笑える。映画的教養をある意味100%正しく、ある意味100%間違って使ってる。

▼本筋と関係ない場面の異様な多さ
内容的にも大体本筋の話は正味20分くらいしかなくて、それ以外は後から考えるまでもなく関係ない場面が延々続く。まあそれ自体タランティーノお得意の意味の無い会話シーンまんまじゃないかと言えばそうなのだけど、やっぱしそれをギリギリ映画として成り立たせるバランス感覚なんかはさすがだ。
何が面白くて何がつまらないのかわかってる人だからから"面白いつまらなさ"をちゃんと作り出せる。
多分グラインドハウスと呼ばれる上映形態では本当に毒にも薬にもならないゴミのような映画もたっくさんあって、これはその中の上限中の上限、みたいな奇跡的な面白さなんだろうなと思った。知らんけど。
ほんと脚本としては話下手なやつが思い出した順に何かを話してるみたいな話運びなんだけど、「何なんだよ、、、」って呆れさせたかと思えば急にエンジンかかる感じとかたまらないものがあった。

▼本作のカート・ラッセル
カート・ラッセルが人好きのするクソ野郎(©宇多丸)を喜々として演じてて絶妙に胡散臭い。カート・ラッセルなんだから絶対ただの良いやつなわけねえ!と思って観てたら案の定ド変態に豹変するのだけど、脈絡もなければ動機もないし、でもテンションだけはやたら高くて、簡単に言うと急に全然違う映画が始まったみたいで悪い夢でも観てるのかと思った。(褒めてる)

後半彼が逆襲される展開はこれでもかとアドレナリン過多に演出されてて最高なんだけど、カート・ラッセルはヘタレる時もこっちの想像の上を行ってくれるんで爆笑だった。「ごめんなさい」がいいよね。「悪かった」とかじゃないのが。
あと勧善懲悪とはいえ映画であそこまで人が半殺しにされるのを丁寧に映した場面は観たことがない。しつこいくらいノリノリでカット割ってて段々同情的な気持ちになってしまってる自分も含めて困っちゃうカタルシスがある。(褒めてる)

あと警察がやたら芯を食った推理を展開するのとか超説明的で笑う。「多分セックスの代替行為なんだろう」ってそれ警察の発想じゃないだろ。

THE END出すとこの潔さまで最後まで頭空っぽの話で本当にスッキリ。
初体験が劇場観賞でとっても幸せ。いつかプラネット・テラーと二本立てでグラインドハウス完結バージョンも観たいなー。
良い映画でした!

★★★★★★★★ / 8.0点



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